珈琲時光

珈琲時光 [DVD]

珈琲時光 [DVD]

小津安二郎生誕100周年記念作品。小津作品は東京物語しか見たことがないのだけど、それでも、ああ、小津さんを意識してるなあ、という部分はいくつか分かった。実家の居間のショットとか、そもそもこの映画全体を支配する空気とか……まあ、そういうのは本気で映画を研究している方がほかで散々論じていらっしゃるだろうから、以下、小津に関係ないところで。
俺は、まあぶっちゃけ小津さんとかどうでもよくて、一青窈浅野忠信、という組み合わせがどうなるんだろ、と興味が湧いたので借りた。
果たして、良かった。浅野忠信はもちろんなんでもこなすんだけど、一青窈が良いよ。というか一青窈の演じる役が好きだ。フリーライター役なんだけど、ふわふわふわふわしながらも、なんか周りに良い空気を撒いている。こういう、なんだろ、日常を泳ぐように生きてる人って俺はホント好きで。映画では彼女の一部分しか見ることができないけれど、良い色の人生を送っていくんだろうなあ、という。
話としては、あのー、なんも起こらない。なんも起こらんよ。登場人物は、一人も大きい声出さないんじゃないかな、ってくらい。でも、色と空気が良いので、ギリギリずっと見ていられる。俺は、ね。
ええと、小津に興味が無い人にとってこの作品は、すげえ駄作、と途中で止めてしまうか、ボーっと最後まで見るか、どっちかだと思う。俺はボーっと全部見て、良かった、と思った。
終わり方、俺、好きだわ。ここで終わるか。