悪人
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: DVD
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あらすじとしては、男が出会い系で知り合った女を殺しちゃって、ほかの女と逃げる話なんだけど、この映画のタイトル「悪人」ってのは、加害者のことだけじゃなくて、被害者や「準」加害者が人として悪いし、あとそれを取り巻く人のほうを気持ち悪く気持ち悪く撮っている。加害者と逃げてる女性が純粋な人間に思えるくらいに。
ただ、そういう話ってありがちで、ね、そういう裏切りはもうほんとにやられ尽くされてる、というか、現実にだってあるじゃないですか。だから正直、うーん、と思うことがいっぱいあって。あと「準」加害者がもうコテコテの頭ポッカリ大学生で、それも、うーん、ってなった。いやあこいつは確実に映画終わるまでにつぶされるべきキャラで、なんだろ、厚みゼロなんだよなー。悪人だーれだ、って聞かれたら、あ、じゃあこいつこいつ! ってなる。
案の定、終盤の頂点で、被害者の父親がこの映画の言いたいことをこの頭ポッカリ大学生にぶちまけるんだけど、それの言葉自体はすごく良かったです。でも頭ポッカリ大学生に言ってもなんかしっくりこなくて、だってこいつは誰がどう見ても悪人というかクズなので、クライマックスでこいつに何をぶちまけても成立しちゃう。だから、こいつはもう放っておいて、ああそうか父親からみたらこいつ悪人なんだ、みたいな、そういう展開を途中から勝手に期待してしまった。勝手に期待しただけなので、そんなところで文句言われてもあれですけど。だから、最後、被害者の父親と、加害者と一緒に逃げた女性が殺害現場ですれ違うんだけど、これ、ちゃんとぶつかって欲しかったなあ。二人ともまじめに必死なので。まじめに必死で、救われないの。だから、この二人で戦って欲しかった。頭ポッカリはもういいよー。一方そのころ、みたいな感じで、頭ポッカリのまま楽しく生きつづけるっていう描写のほうが、むしろ残酷で清々しい気がするなあ。
あとこれ、イカの目の演出は何なんだろう。あとで「悪人 イカの目」で検索したら当たり前だけどいっぱい引っかかった。みんな、はての? と思ってる。
ただこの映画楽しませてもらったところもいっぱいありまして、妻夫木聡のボソボソ演技はほんとリアルで引き込まれました。
あと、一番はなんと言っても戦後処理。いろんな場所でワーキャーやったあと、被害者の父親が自宅の床屋さんに帰ってきてパタンとドアを閉める、というシーンがすごく良くって、ああ、終わったんだな、みたいな。そこがすごく良かったので、この作品見たあとは良い気分でした。
あと1点、加害者が、一緒に逃げることになる女性と定食屋へ行くんだけど、めっちゃシリアスな話(殺人の告白)をしてる最中におばちゃん2人がズカズカと刺身を持ってくるのはあるあるとしてすごくいいです!