面白きこともなき世に面白く

bird call井上春生 監督 鈴木えみ 奥田恵梨華 他
前回の「山手線デスゲーム」でmin.Jamに興味を持ったので、最新作をネットで購入して視聴してみた。繰り返しになるけれど、min.Jamとは、ショートフィルムプロジェクトJam Filmsの新しい試みで、モバイルやインターネット配信に焦点を置いている。一つの話が、数分の細切れの動画数本で構成されているのが特徴。
前回の「山手線〜」はDVDで一気に見てしまったので、min.Jamとしての正当な評価ができなかった感がある。そこで、今度の「bird call」はmin.Jamの正しい見方?に従い、こう、一話ずつダウンロードし、WMPで視聴。
うーん。あー。やっぱり、想像していたとおりだった。映像は透明感があって、構図も素敵なのが多いんだけど、やっぱり、数分の映像では、各出演者(特に脇役)のキャラが確立しないのだ。それどころか、数分で無理やりキャラ付けしようとして失敗してるんじゃないか、と思うところもいくつかあった。例えば友達のちょっと不良入った女の子が、いきなり屋上でリンゴをむしゃむしゃ丸かじりしてるんだけど、俺、ちょっと、笑っちゃったもの。それは、ないだろう。
と、演出に不満を持ちつつ、結局全部見てしまった。何故全部見たか、というと、構成の巧さにやられたから。
1話目は、まあ、登場人物の紹介程度で終わってしまうんだけど、3話目、一気に、「事件」後、になる。「え? あれ? 俺飛ばして見ちゃったかな」みたいな。で、それ以降を見ていくと、だんだん、意味が分かってくる、ような作りになっている。これは、巧いや。気になって見ちゃうよ。感情移入とかじゃなくて、このまま終わるのは気持ち悪い! みたいな知的好奇心からダウンロードしていた。
結論として、min.Jamのような「一話数分十数回形式」で普通の感動するドラマを作るのって、無理なんじゃないかなー、と今のところ考えてる。あー、主人公しか出てこないのとかやればなんとかいけるかな。部屋と男と電話だけで泣かせるようなの。
まあ、それは置いておいて、こう、一話数分、という制約を逆に利用して、どんどん次を落として視聴したくなるような構成が可能、ということも分かった。で、思ったのは、min.Jam形式のキラーコンテンツは、ミステリーとかサスペンス、なんじゃないか。

  • 登場人物に感情移入できなくても、謎解き部分が面白ければいい
  • 毎回、何かしら捜査や事件が進展すれば次が見たくなる

あと、モバイルやインターネットで見ることの観点から

  • 画質が悪くても、あまり作品の本質に影響しない

どうだろう。どうだろうって。ここで言っても。